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明清期茶文化の琉球・日本への伝播の様相 ―松蘿、武夷、茉莉花茶と紫砂壺を中心に― (卒業論文)

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*写真と異なる和綴じ製本となります

論文要旨
本論文は、大陸の明清期(1366-1912)に生まれた新しい様式の「茶文化」が、同時期の琉球・日本に伝播した状況について、その新式の茶文化の形を規定した「製茶法」(炒青、烘焙)、その製茶法の代表的な「銘柄・種類」(「松蘿」、「武夷」、「茉莉花茶」)、および新しい製茶法とともに生じた新しい飲茶法(淹茶)に応じて作られた新式の茶器の代表(紫砂壺)にまつわる文献資料および考古学的発見を、先行研究で重視されてこなかった文脈で解釈することによって、その伝播の様相の解明を進めることを試みたものである。「序章」、「結語」を除き、一、「松蘿」・「武夷」の起源、二、琉球文献に言及された「松蘿」・「武夷」、三、海関記録に見られる「中茶葉」・「細茶葉」の数量・種類及びその変遷、茉莉花茶に使われる茶の種類、四、琉球・日本に輸入された紫砂壺とその使用状況、五、蓋碗の伝播、六、鈴木天眼の「緑茶、一種の贅沢物」という言説、正岡子規の「松蘿玉液」にみられる明清期の茶に対する認知、を主な考察対象として、「明清期茶文化」の定義とその伝播の状況について検討を加えている六章により構成される。また、日本で発見された資料を用いて大陸明清期の茶にまつわる活動に従来検討が足りなかった分野に役立てるようにする。
序章では、本論文が論じる主題「明清期茶文化」の歴史的背景、及び本論文の執筆動機が示される。中国において、明清期(1366-1912)は、前時代(宋元期)と比べれば茶葉利用方法の構造に大きな変化が起こった。その変化が起こった分野を大まかにまとめると、①茶葉の製法、②茶液の出し方、③茶事に使われる茶器といった3つのカテゴリに分けられる。茶葉の製法における移行は、茶葉加工の形態の主流が固形茶(原料の茶葉を殺青してから、絞って砕けて枠に入れて固めたもの)から葉茶(加工後の茶葉は殆ど葉の形がそのまま保留されて利用される形式)に移行したこと、および「殺青」工程に用いられる主流な方法が「蒸青」から「炒青」に移行したことにみられると紹介した。その炒青への移行過程に見られる代表的な茶種「松蘿」・「武夷」および「茉莉花茶」は第1、2、3章で行われる考察の主なテーマになる。また②茶葉の製法すなわち点茶・煮茶から淹茶への移行は、この過程に合わせて出現した代表的③茶器が第4、5章で論じられる紫砂壺・蓋碗である。上述した事項が、従来の琉球・日本における「茶文化」の関連研究にみられる検討不足、および事実誤認の箇所に対する再検討は、本論文の出発点である。
第1章「炒青、「松蘿」そして「武夷」へ」の第1節では、『紙漉方并茶園方例帳』、『球陽』、『官話問答便語』、『説官話』など複数の琉球の文献に言及されたものの、学界で十分に検討されていない「松蘿」の歴史についてまず整理を行う。抑々徽州にある山の名前である「松蘿」が、茶の産地・銘柄から後に炒青法の代名詞ともなった流れを紹介することで、「松蘿」が明清製茶史における重要性を示したい。日本における沖縄=琉球茶文化に対する先行研究において、史料に出現した「松蘿」を意味するものを掘り下げたものが見られなかったのは、「松蘿」の歴史的位置に対する認識が足りなかったと考えられるからである。
また、「松蘿」が炒青法の福建全域への普及、ないしは明清期において半発酵茶(=青茶・烏龍茶)の製法の確立に直接影響を及ぼしたことを示した史料も多数存在している。この点を踏まえ、第1章の第2節では、清初においてその製品が「落後」、「安価品」という印象しか流布していなかった福建茶区が、安徽を主とする他茶区から「松蘿」が代表となる「炒青」法を導入し、かつそれ以降の製法を革新することにより発酵茶技術の先端を走る茶区にもなった流れについて検討を加える。特に日本の学界で十分な認知されていないとも言える徐曉望氏などの武夷茶の起源に対する考証を踏まえる。第1節の「松蘿」と同じく、第2節の「武夷」茶起源に対して再検討することは、琉球に行われた茶生産で用いられる製法の解明につながるだろう。
第2章では、前述した琉球で使われた「琉球官話課本」という昔の中国語教科書により構成される資料群などの史料を利用し、「松蘿」、「武夷」などの手がかりとし、琉球人コミュニティにおける「茶」は文化、商品としての「知識」が流入した時期に対する考察を行う。また、八重山で伝承されてきた生産日誌である『紙漉方并茶園方例帳』にみられる「松蘿」、「武夷」という茶種とその所用材料、及びその背後に代表された「炒青」、「発酵」などの茶の生産技術の伝播状況を分析することを試みる。また、この章で近世琉球における「日本茶」の伝来状況の解明に関わる新しい視点からの史料解釈をも適宜行う。
第3章「「中茶葉」・「細茶葉」、茉莉花茶―琉球に輸入された茶の種類について―」では、まず琉球に輸入された「中茶葉」・「細茶葉」という名目茶葉の量・税金を記録した「琉球国貢船回国照例免稅摺」などの清朝側の税関明細といった史料を、従来の研究で利用されてきた北京に保管されている資料に加え、台北に保管されている資料の存在を示したうえで、両地に保管されている資料にみられるデータを統合し、琉球に輸入された茶葉のランクと数量の変遷を確認できる統計表を示す。これで、従来の研究における琉球の清からの茶葉輸入が中断していた時期があった説に対し、輸入記録が見られない年には事実の中断ではなく、ただ資料の欠落である可能性が高いと指摘する。そして、前章で論じた『紙漉方并茶園方例帳』にみられる「中茶」、「上茶」の製法記録と合わせ、琉球に輸入された茶葉の品種に対する考察を行う。
そして、茉莉花茶の産地と製法の歴史を検討した先行研究を整理し、沖縄で愛飲されてきた「さんぴん茶」(茉莉花茶)を取り上げた先行研究に存在する問題点を指摘しつつ、琉球=沖縄で飲まれてきた茉莉花茶の種類・産地をめぐって再検討を行う前提として、近世琉球・沖縄へ輸出される福州産の茉莉花茶(さんぴん茶)はそもそもほとんど緑茶製のもので、烏龍茶製の茉莉花茶が沖縄で広まったのは台湾の日本統治時代に入ってからのことであったという説を唱える。また全体的に、第3章は第2章とともに琉球=沖縄に輸入された中国産茶葉の種類と製法を探る。
第4章では、まず第一節で明清期に飲茶法の変化に応じて作られた「紫砂壺」の由来を紹介する。そして、沖縄、日本本土各地からの出土資料を分析した考古学の先行研究を踏まえ、飲茶文化の文脈でそれらの資料に対する分析を試みる。また、従来の研究に用いられなかった琉球・日本コミュニティにおける明清期の新式茶文化の存在を示す「魏学源肖像」等の画像資料や文献資料を提示することで、当時の琉日における茶のありさまに対する考察を試みる。またこの章で、明治初期(1878)から始まった、常滑窯での高度な紫砂壺模倣品の製造について、比較的当時に近い時期の資料(『常滑陶器誌』1912)を用い、技術伝来の状況を分析する。
第5章で、歴史学的な先行研究が極めて少ないと見られる、明清の製茶法の変化に応じて誕生した茶器としての「蓋碗」の歴史を紹介し、次に『瓊浦偶筆』を再検討することで、蓋碗が長崎に輸入されていたことを明らかにする。または、土佐(現在の高知県)に漂着した琉球船に乗った潮平(すんじゃ)親雲上(ぺーちん)が現地の儒学者戸部良煕に「蓋碗」の使い方を教えたことを記録した『大島筆記』も検討する。最後に、日本にある伝世品の「蓋碗」およびそれに対する研究の現状を考察する。
第6章「煎茶が近代前の沖縄と日本本土における普及程度について」においては、「煎茶」そのものが19世紀以前には、「贅沢品」感覚があったことを示す鈴木天眼の言説または、明治初期に至っても中国茶の有名茶種への認識が少ないことを示す史料正岡子規の文集『松蘿玉液』を考察し、江戸時代の所謂「鎖国体制」と「緑茶の自給自足」の背景を踏まえ、「紫砂壺」などの本論文で論じた明清期の茶文化が近代以前に沖縄・日本本土において伝播した上限を示したいとする。
「明清期茶文化」の伝播に対する研究の展望、及び残っている課題はすでに各章で適宜紹介したので、「結語」では、本論文の各章の考察を通じて示した、従来の研究より進めた点または今後の関連研究に貢献できるところを改めて整理し示した。また、本論文では、題名に「琉球・日本」を両方並べたが明らかに琉球に重きが傾いており、「明清期茶文化」の琉日間の交流という「重層的」な面をあまり考察しなかったという点、及び『歴代宝案』などの資料に対する確認しなかったという点、論点が拡散している点などの問題点を指摘したうえに、今後の自身の研究に対する展望を提示した。

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