碧螺春の「花果香」を語る際、しばしば果樹との共生環境が言及される。
じつは碧螺春の原産地である蘇州の東山・西山地域は、遅くとも近世以降、
楊梅(やまもも)と枇杷の屈指の名産地として中国に名を馳せてきた土地でもある。
果樹栽培では、良質な実を育てるため、開花期に余分な花や蕾を摘み取る「摘花(てっか)」が行われる。
本品は、その摘花によって生まれた東山「白玉」種枇杷の生花を用い、
二級碧螺春を紅茶として仕立てた茶葉へ香りを移した花茶である。
製作にあたっては、枇杷花を三度入れ替えながら窨製を行った。
三十年以上にわたり蘇州式茉莉花茶の製作に携わってきた花茶技術者の毛さんの指導のもとで、三年にわたり試作と改良が重ねられてきたもので、
本ロットはその一つの到達点と言える。
枇杷の蜂蜜や枇杷ジャムにも通じる、明快ではないが、
気分を静かに落ち着かせてくれるような、
枇杷特有のまろやかな香りが感じられる。