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浦城丹桂(金木犀)× 正山小種
木犀の香り付けは、一般に用いられるジャスミンや蝋梅とは異なり、最盛期が非常に短く、わずか二〜三日ほどしかない。
そのため、花が次々と咲いていく花期のあいだに、何度も理想的な状態の花を確保することが難しく、生花で香りを移せるのは多くても一回、せいぜい二回程度に限られるという。
陳さんの「桂花薫小種」では、開花二日目、日の出前に摘み取った木犀を使用している。
品種は、甘みのある香りが特徴の丹桂。産地は、武夷山と同じく南平市に属する福建北部・浦城である。
もともとモクセイは「体質花」とも言われ、乾燥花を水に浸しても十分に香りを放つ花だが、本作の意義は、単に木犀の香りを正山小種に重ねただけではない点にある。
生花の状態で香りを茶葉に融合させることで、両者が反応し、単純な足し算ではない、新しい香調が生まれているところに価値がある。
「丹桂」の「丹」は赤を意味し、外見的には、現在日本で最も一般的に見られるオレンジ色の花をつける金木犀とほぼ同じである。
実際に、出身地の異なる友人たちに聞いてみると、中国では南北を問わず、黄色い花を咲かせる「四季桂(木犀)」が主流の地域が多いようだ。
しかし、福建省浦城では、オレンジ色の丹桂がほとんどを占めるという。
なお、金木犀は日本列島の在来植物ではなく、江戸時代初期に南中国から渡来したとされている。
その時期は、福建福清出身の隠元が来日した頃とも重なり、両者の関連性については、今後の考証が待たれるところである。