2025/05/22 22:42

「 工夫茶」が「功夫茶」と書くべきでないことについて、前述曾著作『潮州工夫茶話』pp.4-5、前述陳著作 pp.122-124 が歴史上における「工夫・功夫」の使い方の区別、伝統的に工夫茶を行ってきた地域である潮州地域の方言(閩南語の一種)における功(kang)、工(kong) の発音の違いなどの理由で説明するところは、参考に値する。また、「功夫茶」という書き方を取る文献は時期が遅い(清末民初)、また他人が書いた文書を集めて工夫茶に実際に接した経験がない可能性の高い者が作った類書が多い傾向がみられる(例えば、前述丁論文p.141 で言及された『清朝野史大觀· 清代述異』)。また、滕氏の研究にて、直接引用された『続茶経』『夢庵雑著』などの史料に「工夫茶」の表記をも全部「功夫茶」に改めているが、本稿第一章で示した版本を含む幾つかの版本には、「功夫茶」という表記が見当たらない。紙面の制限のせいか、滕氏は著作で参考とした版本を示さなかった。

江彦「喫茶流儀としての「工夫茶」形成過程再考 日本・琉球史料を視野に入れて」p.7