宜興紫砂壺「請飲中國烏龍茶・水平」(満水約110cc)・朱泥

¥15,000

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昔マレーシア、日本など向けの輸出烏龍茶に
おまけとして付けられた「請飲中国烏龍茶」という文字が彫られる
水平壺のレプリカ。

90年代からもう台湾からの注文で数え切れないほどレプリカが作られてきたが、
こちらがわりと最近作られたロット。
烏龍茶を美味しく入れられて実用。

・背景

「請飲中国烏龍茶」款の紫砂壺は、1970年代後半から1980年代初頭にかけて、福建烏龍茶の流通と宣伝を背景に作られた一群の標準壺である。
この系統は、福建茶葉公司系の注文により、江蘇省宜興の国営紫砂工場で製作されたとされる。当時の主な想定市場は、日本や東南アジアなどの海外市場であり、烏龍茶を淹れるための実用茶器であると同時に、「中国烏龍茶」を広めるための宣伝媒体でもあった。
壺身には「請飲」「中国烏龍茶」と刻まれ、底には「中國土產畜產進出口公司福建省分公司廈門支公司」という落款(「建」は「迠」という二簡字)が入る。初期の作例には、紅泥や清水泥を用いたものが多いとされる。
作家による一点物ではなく、国営工場時代の茶葉貿易と外銷茶器の流れのなかで生まれた壺といえる。
一方で、この壺は台湾茶界とも深く結びついている。1970〜80年代の台湾は戒厳令下にあり、中国大陸の物資は「匪貨」として正規輸入が難しかった。そのため、宜興紫砂壺の一部は香港を経由して台湾に入ったとされ、台湾ではこうした壺を「港壺」あるいは「港罐」と呼ぶことがあった。
また、取締りを避けるために、底款の「中国宜興」や輸出公司名を磨り落としたものもあったと伝えられている。現在見られる無款・磨款の古い紫砂壺には、使用痕だけでなく、当時の政治的な状況と非正規流通の痕跡が残っている場合がある。
1980年代後半以降、台湾でこのシリーズは烏龍茶に合う道具として再評価された。「請飲中国烏龍茶」款の壺も、土質や器形の良さだけでなく、福建烏龍茶の外銷、国営工場時代の紫砂生産、台湾における茶文化での変容という複数の歴史を持つ壺として、いまも茶人や収集家のあいだで親しまれている。

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